ワイルドで行こう

 そのバスルームでふたり。
 英児は素肌の琴子を抱きしめながら、耳元に囁いた。

「いまの俺、ガキの俺。どっちがいい」

 容赦ない彼の抱きしめ方にとろけてしまいそうな琴子は力無く答える。

「いまの、あなたが、いい」
「だろ。琴子も、俺だけのものだ」

 そう答えたのに。彼もそう言ってくれたのに。

 この夜、英児は何度も琴子にそれを言わせた。

いまの俺、ガキの俺。どっちがいい?

いまの、あなたが、いい……


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