ワイルドで行こう
「俺にとっては。琴子は良いとこのお嬢さんで『高嶺の花』なんだよ。わかんないだろな」
「わからないわよ。普通に育ってきた……」
「その普通ってやつが俺には『いいとこのお嬢さん』なんだよ。こんなこと、男にやらされたことないだろ」
 ないわけじゃないけど。でもこんなあからさまに『触れ』と強要されたのは初めて――。
 でも琴子は答えず、そのままそっと優しく指先で包み込んだ。愛おしく思いながら、ただ柔らかに包み込んだだけ。
 彼の眉間が歪む。狂おしそうな吐息。
「琴子、お前……」
 『んっ』。また荒っぽく唇を奪われ……。
「んっあ……っ」
 小さなショーツの奥が激しく蠢く。襲われるような荒っぽい英児の手先、つい声を張り上げてしまった。
 彼の硬くなっているところに『彼から』無理矢理に手を入れさせたくせに。俺のを触った仕返しとばかりに彼の手も琴子の白いショーツの中にあっという間に潜り込んでいた。しかも……乳房をするりと丸出しにされ、英児の唇がそこに集中する。今度は琴子の紅い胸先に甘い痺れが募る。その上、琴子の股をさぐる彼の指も素早い。指先であっという間にこじ開けられる感覚。キスと一緒。あっという間に唇をこじ開けられるようなあの感覚で、琴子の黒い茂みの奥をかき分けられ『探り当てられていた』。
 そこで彼の指がつるつると上手く滑った感覚も――。これは英児のせいじゃない。琴子が既に熱くなって零していたから。それを知られてしまう。
「……え、英・・」
 息が引いて声がかすれた。彼の名さえ呟けない。
 向かい合う二人の手と手が交差し、互いの熱い秘密を探り合っている。
「やっぱダメだろ……。琴子……こんなに……。いや、やっぱ嬉しいわ、俺」
 濡れる英児の指先が何度も行ったり来たり。熱く湿っているのがわかる。
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