ワイルドで行こう
「どうかしましたか?」
煙草を吸って、ひたすら肩を揺らして笑っている。
「いや、昨夜さ。滝田君が俺にさ……。『彼女に惚れているんです。大事にしますから、任せてくれませんか』なーんて、俺に言うの。俺、琴子の家族じゃないし。まあ、兄貴みたいな上司だけどさ」
「そ、そんなこと、彼が言ったんですか!?」
かあっと身体も頬も一気に熱くなる琴子。上司にそこまで言い切るだなんて!? そんな男……。でも、彼はそういうきっぱりけじめをつける男でもあると琴子は急に納得してしまう。
昨夜のあの時点では、まだお互いの気持なんてきちんと確かめ合っていなかったのに。あの時、既に彼は琴子のことを『惚れている』と堂々と言ってくれたなんて。しかも上司に。嬉しいけど、やっぱり彼にはびっくりさせられてしまう。
ジュニア社長も、やっと落ち着いた笑みで煙草を灰皿に消した。
「ここらで評判の経営者だよ。一匹狼的な生き方をしているかと思えば、中小企業ばかりの地方の特性もきちんと踏まえて人付き合いもできて、なにより困った人間を放っておけない。ヤンキー共が『兄貴、兄貴』と慕って集まるのも、彼の責任感を信じて車を任せたい男達も、彼のそんな人柄に惚れてしまうんだよな。俺もそうだもん。愛車預けて良かったから、家族の車も全部任せることにしたんだから」
あの男、いい男。ジュニア社長がそうまとめる。
「確かに、母もそう言っていました。責任感ある働き者。それに転んだ母をすぐに助けてくれて」
「だろ。お母さんのお墨付きまであるなら問題ないな。しっかり捕まえておけよ」
だけど。そこで社長が、龍星轟のロゴマークを見つめながらふと呟いた。
「でもな。これほどの男が独身のまま。ちょっとそこは気になるな。忘れられない女がいたのか、女より車なのか。『結婚』に踏み切れないなにかがありそうだな」
ドキリとさせられた。そして、社長もつい言ってしまったといわんばかりに慌てて琴子を見た。
「いやいや。でも、あの男がはっきりとお前に惚れていると言い切ったんだから。あ、だから琴子も安心していないでちゃんと女として頑張れよってこと」
「ご心配ありがとうございます。大丈夫ですからっ」
もう、異性関係丸見えにされちゃって恥ずかしいから琴子もムキになって照れを隠した。
煙草を吸って、ひたすら肩を揺らして笑っている。
「いや、昨夜さ。滝田君が俺にさ……。『彼女に惚れているんです。大事にしますから、任せてくれませんか』なーんて、俺に言うの。俺、琴子の家族じゃないし。まあ、兄貴みたいな上司だけどさ」
「そ、そんなこと、彼が言ったんですか!?」
かあっと身体も頬も一気に熱くなる琴子。上司にそこまで言い切るだなんて!? そんな男……。でも、彼はそういうきっぱりけじめをつける男でもあると琴子は急に納得してしまう。
昨夜のあの時点では、まだお互いの気持なんてきちんと確かめ合っていなかったのに。あの時、既に彼は琴子のことを『惚れている』と堂々と言ってくれたなんて。しかも上司に。嬉しいけど、やっぱり彼にはびっくりさせられてしまう。
ジュニア社長も、やっと落ち着いた笑みで煙草を灰皿に消した。
「ここらで評判の経営者だよ。一匹狼的な生き方をしているかと思えば、中小企業ばかりの地方の特性もきちんと踏まえて人付き合いもできて、なにより困った人間を放っておけない。ヤンキー共が『兄貴、兄貴』と慕って集まるのも、彼の責任感を信じて車を任せたい男達も、彼のそんな人柄に惚れてしまうんだよな。俺もそうだもん。愛車預けて良かったから、家族の車も全部任せることにしたんだから」
あの男、いい男。ジュニア社長がそうまとめる。
「確かに、母もそう言っていました。責任感ある働き者。それに転んだ母をすぐに助けてくれて」
「だろ。お母さんのお墨付きまであるなら問題ないな。しっかり捕まえておけよ」
だけど。そこで社長が、龍星轟のロゴマークを見つめながらふと呟いた。
「でもな。これほどの男が独身のまま。ちょっとそこは気になるな。忘れられない女がいたのか、女より車なのか。『結婚』に踏み切れないなにかがありそうだな」
ドキリとさせられた。そして、社長もつい言ってしまったといわんばかりに慌てて琴子を見た。
「いやいや。でも、あの男がはっきりとお前に惚れていると言い切ったんだから。あ、だから琴子も安心していないでちゃんと女として頑張れよってこと」
「ご心配ありがとうございます。大丈夫ですからっ」
もう、異性関係丸見えにされちゃって恥ずかしいから琴子もムキになって照れを隠した。