Boys Kissシリーズ・金持ちとのキス
その衝撃で、封筒から札束が顔を出す。

「何の取り引き?」

ざっと見ても多分百万はあるだろう。

けれど俺の心は冷めたまま。

「百万用意した。足りない分は後から用意する」

「だから内容を言えって。説明がたりねーんだよ」

僅かにイラダチながら言うと、ヤツには珍しく俯く。

…こういう風に大人しくしていれば、そこそこ美青年なんだけどな。

何せコイツの実家は世界を相手にしている大会社で、コイツも高校生ながらも会社を経営しているらしい。

その月収はすでに普通のサラリーマンの年収をとうに越えている。

そんなコイツが百万を出してまで、俺と何の取り引きをしようと言うのか。

「金をやるから…その……キ…」

「き?」

「キスさせろっ!」

 チーン…

…アレ? 幻聴か? 何だか寺とかで良く聞くあの音が聞こえた気がしたが…。
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