本当の幸せ
『あ、おきさん?
えっと俺らのこと分かる?
……同じクラスなんだけど。』
彼女はゆっくり
コクンと頷いた。
『女がこんな時間に
なにしてんの?
あぶねーだろ。』
時刻はもう22時すぎ、
結城が女の心配を
していることに
驚いたが言っていることは
最もだった。
『………大丈夫?』
彼女はさっきから
どこかビクビクしていて
そしてキョロキョロと
辺りを見渡していた。
『家どこ?
送っていこうか?』
俺がそう聞くと、
『………だ、いじょうぶ。』
やっと口を開いた彼女。
はじめて聞くその声さえ
綺麗だと思った。