本当の幸せ







野坂が近づいてきて
私の頬の傷に触れた。





『痛い?』





私はふるふると
首を横に振る。






『嘘。
痛くないはずがない。』




『痛くない。

私が悪いから、
慎司は悪くない。』



呪文のように
“慎司は悪くない”と
言う私に神田は言った。





『お前も頭おかしんじゃね?

いつか殺されるぞ。』







< 86 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop