会議室のナイショの関係
「どうなのも何も、社長はお兄ちゃんの友達で昔から社長の事を知っているだけだよ」

「ホントにー?」


香澄はニヤニヤしながら私を見る。


「ホントにホント!だけど、この事、誰にも言っちゃダメだからね!」

「うん。まぁ、それはわかってる。私も言わない方がいいと思うし。だけど、紗和は社長の事どう思っているの?さっき社長が機嫌悪そうに見えたって言った途端、紗和、すごく動揺していたから」


香澄はみんなに言いふらすような子じゃない。

きっと冗談でからかってきたりはするだろうけど。

少し迷ったけど、私は香澄に正直に話す事にした。


私は香澄の耳元で


「多分……、今も好き」

「多分?今“も”?」

「小学生の頃、憧れていたから」


今まで、まーくんの事を好きだなんて誰にも言った事はない。

その前に、自分の気持ちも確かじゃなかったけど。

今、“多分”って付けたけど、まーくんへの気持ちを言葉にした途端、私の身体は熱くなった。


何か、すごくドキドキする。


今まで、まーくんに対する自分の気持ちがはっきりとわからなかったけど。

私、“多分”じゃなくて、まーくんの事“すごく”好きなんだ。


「ふふっ、そっか。頑張りなよ」


香澄はにこにこしながら、そう言ってくれた。

そして、お盆を片付けた後、私達は企画課に戻り仕事をした。


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