会議室のナイショの関係
「やめときなって」


給湯室には私と香澄しかいないはずなのに、いきなり男の人の声が聞こえた。

声のした方を見ると


「あっ、福本さん……」


給湯室の入口の所に同じ部署の先輩が。


福本さんは、私とペアで仕事をしている先輩。

私の教育係みたいな感じの先輩。

優しく、丁寧に仕事を教えてくれる。

頼れる、そして、すごくお世話になっている先輩だ。


「いつからそこに居たんですか？」


“やめときな”と言われたからか、香澄は福本さんに突っ掛かるような言い方をする。


「いつからって、香澄ちゃんが“倉木さんに告白する”って言ったくらいかな？廊下を歩いていたら、二人の大きな声が聞こえてきたよ」


福本さんは優しい口調で話しているけど。

いつもの優しい福本さんとは違い、何か少し冷たさを感じる。


「っていうか、何で福本さんにそんな事言われなきゃいけないんですか？」


そんな福本さんに、苛立っている香澄はますますキツイ口調になる。

二人の間でなだめる事もどうする事も出来ない私はおろおろしているだけだった。

そんな私に気付いてか


「紗和ちゃん。課長がコーヒー飲みたいって言っていたから、持って行ってくれないかな？」


福本さんは優しくそう言う。

私に対しては、いつもの福本さんだ。


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