会議室のナイショの関係
ヤバイ!!

誰かに見られた!!

どうしよう!?


私が焦っておろおろしていると


「社長……、そろそろ会社を出る時間です」


社長であるまーくんの秘書をしている倉木さんの声が聞こえてきた。


「チッ、もうそんな時間か」


まーくんは舌打ちをし、


「わかった」


給湯室の外にいる倉木さんに向かって返事をする。


「じゃぁ、行ってくるな」


まーくんは私の頭の上から手を離し、給湯室から出て行く。

まーくんの手が離れた瞬間、私はちょっと寂しい気持ちになった。

文句を言いながらも、まーくんにかまって貰えて嬉しかったから。


だって、まーくんは私の初恋の人。

あの頃のまーくんは、お兄ちゃんとゲームをしていようが、勉強をしていようが、私が側に行くと嫌な顔をせずに笑顔でかまってくれた。

最初の頃は、本当に“遊んでくれるお兄ちゃん”って認識だったけど、高学年になるにつれて、私はまーくんの事ばかり考えるようになっていった。

だけど、まーくんは高校を卒業するとぱったりと家に来なくなる。

私はそれが寂しかった。

それ以来、まーくんとは会っていないし、気が付けば、まーくんの事を考える事もなくなっていた。

まぁ、私は学生の頃は“初恋の相手はまーくん”と思っていたけど、正直、あれが初恋だったのか、ただの憧れだったのか、今となっては私自身わからないけど。


私は自分のコーヒーを淹れ、企画課へ戻る。

そして、自分のデスクで仕事をしながら、まーくんと再会した日の事を思い出していた。


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