会議室のナイショの関係
「えっ!?あ……お、お疲れ様です」


何でここにまーくんが居るの!?

っていうか、何で入って来るの?


今までも、私が一人の時は声を掛けてきたりしていたけど、誰かと一緒の時にこんな風に給湯室に入ってきたり、声を掛けてくる事はなかった。


バレたらどうするのよ!


私は一人慌てる。

だって、まーくんに何か言われたら、私、絶対に顔に出る!

顔が赤くなったり、態度に出たりしてしまいそうだ。


「社長、どうしてここに?」


慌てている私に気付かず、福本さんは不思議そうにまーくんを見ている。


そりゃそうだよね。

今、いつもまーくんの側に居るはずの秘書の倉木さんもいない。

社長が一人で給湯室にふらっと来る事は不思議だと思う。


「花本さんの淹れたコーヒーが飲みたくてね」


まーくんは福本さんに向かって笑顔で答える。


えぇっ!?

その理由、ヤバくない?

っていうか、

“社長がたまたま給湯室にいた私の淹れたコーヒーが飲みたい、と給湯室に来る”

という意味もわからなくない?


福本さんは、人に言いふらすような人ではない。

例え、私達の関係に気付いたとしても、黙っていてくれるだろう。

でも、さすがに、その理由はダメでしょ!


「そうですか。……それじゃ、僕は戻ります」


私達の関係に気付いたのか、気付いていないのか。


「紗和ちゃん、ありがとう」


福本さんは私に笑い掛け


「失礼します」


まーくんに頭を下げ、コーヒーを持って給湯室を出て行く。


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