会議室のナイショの関係
給湯室には、まーくんと私の二人きり。

まーくんは機嫌が悪そうに、給湯室内の椅子にドカッと座る。


「なぁ、紗和。二人きりで何していたんだ?」

「えっ?何って……。仕事がキリついたから、福本さんと一緒にコーヒー飲みながら休憩していただけだよ」


そして、その休憩で、福本さんの愚痴というか話を聞いていただけだ。

まーくんの視線を感じながら、とりあえずコーヒーを淹れ、振り返る。

まーくんに見つめられてのドキドキと、機嫌の悪いまーくんを見て私は何かしてしまったのだろうか?というドキドキとで、複雑な気持ちになりながら、コーヒーをテーブルに置く。


「あんなに顔を近付けてか?」

「えっ?そんなに近かったっけ?」


そんな顔を近付けていたつもりはないのだけど……


「はぁ……。そんな無防備に男に近付き過ぎるなよ……」


まーくんは大きくため息を吐く。


“無防備に”って、そんな事を言われても……

だから、そんなつもりは全く無いんだけど。


そんな事を思っていると、まーくんは私の腕をグイッと引っ張り抱き寄せる。


「ちょっ!?ここ、会社っ!!」


まーくんの行動に、私はまーくんの腕の中でじたばたと暴れる。


まーくんに抱きしめられる事は嬉しい。

だけど、ここは会社。

こんな所を、誰かに見られたら……


私は必死にまーくんから離れようともがく。


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