会議室のナイショの関係
「大丈夫だよ」


私を落ち着かすように、優しく言いながら、まーくんは抱きしめていた腕の力を緩める。

そして、私の腕を掴み、廊下を歩いている人から見えないであろう死角に連れて行く。


「ここだったら見えないだろ?」


そう言うと、もう一度、まーくんは私をぎゅっと抱きしめる。


いや、だから……

まーくんに触れられたり、こんな風に抱きしめられるのは嬉しいのだけど。


「そういう問題じゃ……。さっきだって、絶対、福本さんヘンに思ったよ」


私はまーくんのシャツをぎゅっとにぎりしめ、まーくんの顔を見上げる。


「“ヘン”って何が?」

「だから、まーくんが一人で給湯室に来る事がヘンなの!しかも、私のコーヒーが飲みたいって……。意味わかんないし」


福本さんだって、絶対ヘンに思っているよ。

……って、あれ?


「ねぇ、倉木さんは?近くに居ないの?」


倉木さんはいつもまーくんの側に居る。

そして、いつものパターンなら、給湯室の外には居るはずだ。

だけど、今日はその気配もない。


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