会議室のナイショの関係
「それにしても、お父さん、遅いわねぇ。和也は仕事だから仕方ないけど」


壁に掛けてある時計を見ながら、お母さんはぶつぶつ言っている。

お兄ちゃんの仕事はメンズやレディースの服を取り扱っているブランドのショップの店長。

今日はクリスマスという事以前に、土曜日。

もちろん仕事。

19時なんて帰って来られないのはわかるけど。


「お父さんも仕事?」

「ううん、休み。で、今は予約していたケーキを取りに行って貰っているんだけど、帰って来ないのよ。本当、あの人は仕方ないんだから……」


お母さんは、はぁ、と大きなため息を吐き


「真人くん、お待たせしちゃってごめんね」


申し訳なさそうに、まーくんを見る。


「いえ、大丈夫です。おじさんの気持ち、わからなくもないですし……」


そんな会話をしていると


ガチャガチャ――


「ただいまー」


玄関からお兄ちゃんの声がする。


「あら、和也の方が早かったみたいね」


お母さんは立ち上がる。


「ほら、いい加減諦めろよ」


すると、玄関からお兄ちゃんの呆れた声が聞こえた。


ん?何事?


私達は顔を見合す。

しばらくすると、リビングのドアが開き、私達は自然と視線を入口に向けた。


< 70 / 106 >

この作品をシェア

pagetop