会議室のナイショの関係
「真人の会社、フジ食品だっけ?紗和、そこに就職したのか?」

「うん。だけど、面接を受ける前に会社案内を見たけど、そこに写っていた写真はおじさんだったよ?」

「あぁ、多分、それ真人の親父さん。……真人の親父さん、体調が良くなくて社長職を退いたんだ。今は元気になったみたいだけどな。まぁ、元々、真人が会社を継ぐ予定だったし。それに、その為にアイツはずっと経営学を勉強していたから。
本当はもっと先の話だったんだけど、親父さんが倒れて……。だから、確か先月だったかな?真人が社長になったのは……。真人もわかっていたとはいえ、大変だろうな」


そうだったんだ。

だから、まーくんがあの場に居たんだ。


「つか、何?真人が社長で何か都合が悪いのか?」

「ううん。そういう訳じゃないんだけどさ……。入社式の時、社長の挨拶でまーくんが出てきてびっくりしたの」


そう、久しぶりにまーくんに会えて嬉しいっていうよりも、まーくんが私の入った会社の社長として出てきた事に驚いたのだ。


「そっか。まぁ、頑張れよ」


お兄ちゃんはそう言うと、ポンポンと私の頭を撫でる。


同じ会社だからって、まーくんは社長。

だから、私が一方的に見かける事があっても、会う事はほとんど無い。

そう思っていたのだけど……


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