会議室のナイショの関係
「お父さんね、昔からずっと言っていたのよ。和也は息子だからもちろんだけど、“二人が大人になったら、一緒にお酒を飲みたい”ってね」


お母さんの話を聞いて、私はまたリビングの方へ視線を向ける。

すると、さっきまでの表情とは違い、お父さんはすごく嬉しそうだった。


「安心しなさい。紗和が真人くんとお付き合いをする事は反対じゃないから。ただ寂しいのよ。娘を取られたみたいで」


お母さんは優しく微笑む。


「同棲もするって言っても、明日すぐ家を出て行くわけじゃないんでしょ?」

「うん。いつ、まーくんの所に引っ越すかは決まってない」


私も昨日聞いたばかり。

だから、いつ引っ越すかとか、予定は全く決まっていない。


「じゃぁ、それまでには多少は料理くらい出来るようにならなきゃね!」

「うん、頑張る」


好きな人の事を家族に認めて貰えて嬉しい。

家族にも認めて貰えたのだから、私も頑張らなきゃ。

リビングで楽しそうにしているお父さんを見ながら、そう思った。


< 83 / 106 >

この作品をシェア

pagetop