給湯室の恋の罠
数日後――…


その日は残業で、何人か会社に残っていた。

私もだけど、福本さんも。

仕事が終わった人から、少しずつ帰って行く。

そして、最終的に残ったのは、私と福本さん。

お互い、仕事をしているだけなのに、なんか気まずい。

いや、ただ私が勝手に気まずく思っているだけなのかもしれないけど。

私はチラチラと福本さんの事を見ながら仕事をしていた。


あの日以来、福本さんから何も言われていない。

それ以前に、ほとんど話していない。


もう、私の事、どうでもいいのかな?

あの日の言葉は、私をからかっただけ?


倉木さんの事が好きなはずなのに。

私は、福本さんの事が気になって仕方がなかった。


あぁー、なんかモヤモヤする。

気分転換に、タバコでも吸いに行くか……


私は自分のデスクから立ち、喫煙ルームに向かった。


私が席を立っても、福本さん、気にもしていなかったな。

やっぱり、あの日の言葉は本気じゃなかったんだ。


そう解釈した私。

私が好きなのは倉木さんのはずなのに。

すごく……

すごく、ショックだった。


< 10 / 28 >

この作品をシェア

pagetop