給湯室の恋の罠
「別に、どうなろうと福本さんには関係ないじゃないですかっ!!」


福本さんの態度に振り回されている自分が嫌だった。


だから、私の事、放っておいて……


そう思っているのに


「関係あるよ」


ガタンッ、と椅子から立ち上がると、私の両肩を掴む。

福本さんに掴まれた瞬間、私はすごくドキドキする。


「俺、香澄ちゃんの事、好きって言ったよね?」


まっすぐ、真剣な目で私の顔を覗き込む。

福本さんに見つめられ、私の心臓はますます早くなる。


なんで、私、こんなに福本さんにドキドキしているの?


ドキドキしている事を福本さんに気付かれたくない私は、ドンッ、と胸を押し福本さんから離れる。


「それって、私の事からかっているだけでしょ?どうせ、本気じゃないんでしょ?」


私は福本さんから顔を背ける。


私は福本さんの事、何とも思っていない。

そうだよ。

何とも思っていないはずなのに……


「ヘンな事を言って、私の事、振り回さないで下さい!」


からかっているだけなら、これ以上、私の気持ちを掻き乱したり、振り回されたりするのはやめて!


福本さんと一緒にいたら、自分の気持ちがわからなくなる。

そう思った私は、福本さんから離れようと給湯室から出て行こうとした。


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