給湯室の恋の罠
「待って!!」


その瞬間、私は腕を掴まれ、そして、福本さんの腕の中へ。


「いやっ!!離して下さい!」


私は福本さんの腕の中で暴れるけど


「嫌だ」


さらに強い力で抱きしめられる。

そして、


「俺は本気だよ。からかってなんかいない。本気で香澄ちゃんが好きなんだ」


耳元でそう囁いた。

耳に響く、福本さんの低く落ち着いた声。

耳にかかる吐息……

私の心臓は煩いくらいに動く。


「じゃぁ、なんで……」


暴れるのを諦めた私は、まっすぐ前を見たまま呟く。


「えっ?」

「じゃぁ、何で、あの日以来、私には話し掛けてくれないんですか!!紗和や他の人には優しいのに、何で私にだけ、冷たくするんですかっ!!」


今まで、ずっと心の中に溜めていた物を吐き出した。

それと同時に、私の目からは涙が溢れ出してくる。

だけど、泣いている事を福本さんにバレたくなくて、必死に涙を堪えようとする。


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