給湯室の恋の罠
「えっ!?でも……、倉木さんは“ありがとう”って」


福本さんは、私の答えに驚きながらもどこか嬉しそう。


「私、倉木さんには“好きでした”って言っただけですから」


私は福本さんから目を逸らさずにはっきりと言う。


「えっ?なんで!?」


私の言葉に、ますますわからないって顔をしている。


「私もわからないですよ」


本当はもう気付きはじめている。

こうやって福本さんと話している事が嬉しいと思っていたり、倉木さんの事が好きと言っていたけど、最近ずっと福本さんの事を気にしていたり。

本当に最初は何とも思っていなかったはずなのに……


「じゃぁ、俺にもまだ可能性あるんだ」

「えっ?」


福本さんは私の手をそっと握り


「香澄ちゃんが俺の事、何とも思っていない事はわかっている。だけど、俺の気持ちは変わらない。
だから、俺、長期戦でいく事にするから」


そう言って、福本さんは満面の笑みで私を見つめる。

そんな福本さんにやっぱりドキドキしている私。

そして、そんな風に言ってくれるのを嬉しく思った。


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