給湯室の恋の罠
「えっ……と、なんで?」


私が急に倉木さんの事を聞いたから、紗和は不思議そうに私を見ている。


「“なんで?”って、好きになったから」


はっきりそう言う私に


「いや、そうなんだろうけど……。でも、香澄、今までそんな事、一言も言ってなかったよね?」

「うん」

「いつから、好きだったの?」

「“好き”って思ったのは……、ほら、紗和が社長に告白された時」

「えっ?この前?」

「うん、この前」


さらっと言う私に紗和はますます驚いていた。


私が倉木さんの事を好きだと思ったのは、あの日――…


いつも会議の時のお茶出しと後片付けは、私と紗和の仕事。

そして、その日も会議が終わった後、紗和と一緒に後片付けをしていた。

その時、社長が紗和に用事があると戻ってきて……

その後、紗和達は付き合う事になったのだけど。

私が会議室を出ると、廊下に倉木さんが立っていた。


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