給湯室の恋の罠
「何?」


福本さんは振り返り、私をじっと見つめる。

私は勇気を振り絞り


「……思わない?」

「えっ?何?何が?」


肝心な所が小声になってしまい、福本さんには聞こえなかったみたいで。


「もう一度、言って?」


私の顔を覗き込み、優しく言う。


「だからっ……、調子がいいとか思わない?私の事、軽い女だとは思わない?」


あまりにも緊張している私は、怒ったような言い方になってしまう。


「俺は香澄ちゃんの事、そんな風に思った事ないよ?それがどうかした?」

「私……、福本さんの事、好きになりました」


まだ、言うつもりのなかった私の本音。


「……本当?」


いきなりの告白に、福本さんは驚いている。

私はコクンと頷き


「でも、私、この間まで倉木さんの事が好きって言っていたから……。今、もし私の気持ちを伝えても、福本さんに信じてもらえないって思っていて……」


私はだんだん何を言っているのかわからなくなってくる。


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