給湯室の恋の罠
すると


「やめときなって」


私達以外の声が聞こえてきた。

声のした方を見てみると


「あっ、福本さん……」


そこには同じ課の先輩が。


福本 孝太郎(ふくもと こうたろう)

紗和とペアで仕事をしている2つ上の先輩。


紗和いわく、

いつも優しく、丁寧に仕事を教えてくれて、頼れる先輩。

見た目は悪くないんだろうけど、中の上ってくらいで、私は全くって言っていいほど興味がなく、あまり話した事はない。


「いつからそこに居たんですか?」


さっき、“やめときな”って言われた事に少しムカついた私の言い方はキツくなる。


「いつからって、香澄ちゃんが“倉木さんに告白する”って言ったくらいかな?廊下を歩いていたら、二人の大きな声が聞こえてきたよ」


私、そんな大きな声で話していたんだ。

その事は少し恥ずかしく思うけど


「っていうか、何で福本さんにそんな事言われなきゃいけないんですか?」


別に私が誰に告白しようが関係ないじゃん!


やっぱりムカムカしている私は、先輩相手にだけどキツイ言い方になる。

そんな私を見て、紗和はオロオロしていた。


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