愛を餌に罪は育つ
私たちは椅子に腰掛け、加藤さんは体を起こしてベッドに座った。
「足だけで済んで良かったね。他は大丈夫なんでしょ?」
『まぁな』
「加藤君が酔っ払うなんて珍しいよね。自棄酒?何か嫌な事でもあったの?」
加藤さんは口を閉じ、何か言いたげだが何故か躊躇っているように見えた。
本当に嫌な事があって私たちには言い難い事なのかもしれない。
「私飲み物買ってきますね。何がいいですか?」
『ありがとう、美咲ちゃん。でもいいんだ、気を遣わないで』
「――はい」
私がいるから話しにくいのかと思ったけど、そんな考えは加藤さんにはお見通しのようだ。
腰を上げかけていたが、また椅子に座りなおした。
ついさっきまでは明るい雰囲気だったのに、今では凄く重たい空気が流れていて、さすがの梓も気まずそうだ。
『誰にも言わないって約束できるか?』
「――うん、約束する」
「約束、します」
私たちの言葉に深く頷いて見せた加藤さんは一旦深呼吸をして、こう言った。
『酒は飲んでたけど軽く飲んでただけだ。階段から落ちたのも足を滑らせたんじゃない――誰かに――背中を押されたんだ――――』
「足だけで済んで良かったね。他は大丈夫なんでしょ?」
『まぁな』
「加藤君が酔っ払うなんて珍しいよね。自棄酒?何か嫌な事でもあったの?」
加藤さんは口を閉じ、何か言いたげだが何故か躊躇っているように見えた。
本当に嫌な事があって私たちには言い難い事なのかもしれない。
「私飲み物買ってきますね。何がいいですか?」
『ありがとう、美咲ちゃん。でもいいんだ、気を遣わないで』
「――はい」
私がいるから話しにくいのかと思ったけど、そんな考えは加藤さんにはお見通しのようだ。
腰を上げかけていたが、また椅子に座りなおした。
ついさっきまでは明るい雰囲気だったのに、今では凄く重たい空気が流れていて、さすがの梓も気まずそうだ。
『誰にも言わないって約束できるか?』
「――うん、約束する」
「約束、します」
私たちの言葉に深く頷いて見せた加藤さんは一旦深呼吸をして、こう言った。
『酒は飲んでたけど軽く飲んでただけだ。階段から落ちたのも足を滑らせたんじゃない――誰かに――背中を押されたんだ――――』