愛を餌に罪は育つ
笠原さんが差し出した手にはハンカチが握られていて、どうしようか悩んだが私はそのハンカチを受け取った。
「すみません――ありがとうございます」
私の言葉に笠原さんは柔らかい笑顔で返してくれた。
ハンカチを頬にあて、涙を拭っていると部屋のドアがノックされた。
『いやぁ、遅れてしまって申し訳ない――』
山田さんは私の顔を見るなり眉間にシワを寄せ、難しい顔をした。
悪いことをしたわけではないけど、なんだか少し気まずい。
山田さんは静かに笠原さんの隣に座ると、笠原さんがさっきの話を山田さんに伝えてくれた。
『他に思い出した事はなかですか?』
「はい――すみません。ただ、もしかしたらこれに何か手がかりになるようなものが入っているかもしれません」
私は鞄の中からUSBメモリを取り出し、机の上に置いた。
『これは?』
「病院に持ってきて下さった鞄の中に入っていたんです。この中にいくつかフォルダが入っているんですが、その中に日記という名前のフォルダがあります。でも、開けないんです」
『開けない?』
「それだけパスワードが設定されていて、どうしても思い出せなくて――」
「すみません――ありがとうございます」
私の言葉に笠原さんは柔らかい笑顔で返してくれた。
ハンカチを頬にあて、涙を拭っていると部屋のドアがノックされた。
『いやぁ、遅れてしまって申し訳ない――』
山田さんは私の顔を見るなり眉間にシワを寄せ、難しい顔をした。
悪いことをしたわけではないけど、なんだか少し気まずい。
山田さんは静かに笠原さんの隣に座ると、笠原さんがさっきの話を山田さんに伝えてくれた。
『他に思い出した事はなかですか?』
「はい――すみません。ただ、もしかしたらこれに何か手がかりになるようなものが入っているかもしれません」
私は鞄の中からUSBメモリを取り出し、机の上に置いた。
『これは?』
「病院に持ってきて下さった鞄の中に入っていたんです。この中にいくつかフォルダが入っているんですが、その中に日記という名前のフォルダがあります。でも、開けないんです」
『開けない?』
「それだけパスワードが設定されていて、どうしても思い出せなくて――」