愛を餌に罪は育つ
静かな部屋の中、マウスをクリックする音だけが聞こえる。


山田さんはまだ説明してくれる気はないようで、ジッとディスプレイを見ている。


私も準備が整うまで静かに待とうと思い、再びディスプレイに目を向けた。


日記のフォルダの中にはプライベートと記録という名前のワードが二つ保存されていた。


プライベートはなんとなく想像できるけど、記録って何だろう?



「プライベートの方も少し読ませて頂きましたが、問題無さそうでしたので直ぐに閉じさせて頂きました。問題は記録と書かれたファイルの方です」

「何が問題だったんですか?」

「今お見せします」



笠原さんはそう言うと記録のファイルを開いた。


一枚目の冒頭には××年六月十三日と書かれていた。


今から約十ヶ月前だ。



××年六月十三日

私の勘違いかもしれないけど、念のためここに記録を残すことにします。

最近視線を感じる。だけど、辺りを見渡しても誰もいない――気味が悪くて落ち着かない。



何、これ――。




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