愛を餌に罪は育つ
更に読み進めていくと、内容は段々とエスカレートしていった。



××年六月二十六日

仕事が終わり帰宅すると、リビングのテーブルの上に私の名前が書かれた封筒が置かれていた。

私の名前以外は何も書かれていない。

お母さんに確認すると、切手も消印も無い為恐らく直接ポストに入れられていたんだろうとの事だ。

不思議に思いながらも封筒の中身を取り出すと、そこには手紙ではなく私を隠し撮りした写真が入れられていた。

写真にはマルが書かれているものやバツが書かれているもの、二重丸が書かれているものがあった。

この印には一体どういう意味があるんだろう――。

もう少し様子をみて警察に相談してみようと思う。

それまで鍵のかかる抽斗に写真をしまっておこう。



『もうお分かりかとは思いますが、恐らく大野さんはストーカーの被害にあっとったようです』

「ストーカー――――」

『ご家族を襲ったんはこのストーカーの可能性が強かです』

「そんな――それ、って――私のせいで家族は死んだって――殺されたってことですか――――?」



山田さんも笠原さんも私の質問には答えようとせず、ディスプレイに映っている記録の内容を先へと進めた。


もしもこのストーカーが家族を殺したんだとしたら――私が殺したようなものだ。


でもどうして家族を殺す必要があったの?


どうして――私だけ生きてるの?






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