愛を餌に罪は育つ
次の記録は前回から一月ほど間が空いていた。



××年八月二日

変な写真が届けられて暫くの間変わった事もなかった為、私はそんな事があった事をすっかり忘れていた。

だけど、また宛名だけ書かれた封筒がポストに入っているのを見つけ、写真を抽斗にしまっていた事を思い出した。

封筒の厚みからしてまた写真が入っているんだろうと思った。

今回の写真は私だけじゃなく、誰かが直ぐ隣に写っている写真だった。

私の隣に立っているスーツを着た男性の顔は刃物のようなもので切り刻まれていて、誰だか分からなかった。

背筋が凍りつくようだった。

会社の飲み会で行ったお店が後ろに写っているが、この時は結構お酒を飲んでいた為記憶が曖昧で直ぐにはこれが誰なのか思い出せなかった。

明日会社の人にそれとなくこの時の飲み会の事を聞いてみよう。

写真を封筒に戻そうとした時、まだ中に何かが入っていることに気付いた。

手紙らしく開いてみると、そこにはパソコンで打たれた文字で文章が書かれていた。

その手紙を読み、私は恐怖で固まってしまった。

“僕が大好きだと言った服を着て、そんな男の前でその可愛い笑顔を見せるなんて――でも、分かってる。本当はその男が君にしつこく付きまとってるんだよね?大丈夫だよ、もう何も心配は要らない。君のその笑顔は僕だけのものだ”

前回の写真を見直すと、飲み会で着ていた洋服を着ている私の写真があり、そこには二重丸が書かれていた――。






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