愛を餌に罪は育つ
ディスプレイは最後の記録を映し出したまま動かない。


動きを止めたのは笠原さんの手はマウスから離れ、今はボールペンを手に持っているからだろう。



『この後記録は残っとらんですが、もしかすると大野さんはストーカーと接触しとる可能性があるかもしれんです』

「ストーカーと――――」

『可能性は低いですがね』



もしストーカーと会ったなら、私は彼を怒らせてしまったのかもしれない。


だからあんな事になってしまったのかもしれない。



「ストーカーの被害に遭っていた時に野坂さんとお付き合いしていたかは分かりませんが、彼からストーカーの話をされた事はありませんか?」

「いえ、朝陽からは何も聞いてないです。朝陽にそれとなく聞いてみた方がいいですか?」

『いんや、それは止めときましょう。付き合う前だろが付き合っている時だろうが、彼がそのストーカーの可能性も考えられるんでね』



最近の朝陽の言動を考えると絶対に違うとは言い切れない自分がいた。


だけど違うと思いたい。


あんなに優しくて、たまに子供の様に可愛い朝陽がストーカーだった上に人を殺しただなんて――。






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