愛を餌に罪は育つ
私の記憶が戻ればいろんな事が分かるかもしれないのにと思うと、もどかしくてしょうがなかった。



『野坂さんに加藤さんの話をした事はなかですか?』

「話をしたことはないですけど、加藤さんが事故に遇う数日前に開かれた会社の飲み会で朝陽は加藤さんと会ってます」

『加藤さんと野坂さんは言葉を交わされましたかね?』

「言葉は交わしていません。でも、酔っぱらった加藤さんが腕を絡ませてきたところを朝陽に見られているかもしれません」



その時の状況を詳しく話すと、山田さんは『なるほど』と言いながら首を頷かせていた。


山田さんは顎を触りながら何やら考え始めた。


私と笠原さんはその様子を静かに見ていた。



『まだ野坂さんがストーカーと決まった訳じゃなかです。決め付けて他の人物に目を向けんのも危険ですから。ただ、注意は十分必要です。今日は家に帰れば野坂さんはおるんですよね?』

「はい、特に出かけるとかは言ってなかったので居ると思います」

『いつも通り接する事はできますかね?』

「――――」






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