愛を餌に罪は育つ
できないからといって急に泊まるから今日は帰らないと連絡すれば、今の朝陽なら深く追及してくるだろう。


変に勘違いされて関係のない人が疑われては困る。



「いつも通りに接します」

『もしも無理だと思うたら、野坂さんに怪しまれる前に連絡して下さい』

「分かりました」



笠原さんはノートPCから引き抜いたUSBメモリを私に返してくれた。


今持っているUSBメモリと預ける前に持っていたUSBメモリは同じ物なのに、中身を知ってしまったせいか凄く不気味な物の様な気がする。



「念のため新しいパスワードを設定させて頂きました。パスワードは私たち三人だけしか知りません」

「分かりました」



誰にも知られないようにと口頭でパスワードを聞き、それを一生懸命頭の中に叩き込んだ。


万が一忘れてしまったらまた聞いてくれて構わないと言ってもらえて少し安心した。


ただし電話は盗聴される恐れがあるため、直接会った時にしか教えられないそうだ。






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