愛を餌に罪は育つ
紅は手紙をまた折り目の通りに折り畳むと、写真と一緒に封筒にしまった。


梓は悲しそうな笑みを見せその封筒を受け取った。



「名前だけじゃ調べようがなかったから、涼子が大学の時から仲良くしていた友達に朝陽って人を知ってるかどうか聞いたの。だけどその子も彼とは面識がないらしくて、名前しか知らないって言われた」

「それならどうやって調べたの?」

「その子から聞き出せた情報は涼子が彼との関係で悩んでいた事、そしてその彼が付き合ってるっていう本命の彼女の名前だけ」

「それだけの情報で彼の目星を付けたの?そんなの無理だわ。今回のDNA鑑定はする前から結果は分かってたんじゃないの」



梓は微かに首を横に振り、口を開いた。



「勿論その時は分からなかったし探しようがなかった。半ば諦め掛けてた時に出会ったんだ。彼の本命の女性と――」



紅は梓の言葉に不思議そうな顔をしたが、口は開かずただ梓の話を聞いている。






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