愛を餌に罪は育つ
「納得できなくてもDNA鑑定に間違いはないわ。それに――こんな事言いたくないけど、他にも関係を持ってた男性がいるかもしれないじゃない」
「――指輪を持ってたの」
「指輪?」
「涼子の部屋の引出しの奥に“Asahi*Misaki”って刻印された指輪が入ってたの。同じ刻印がされた指輪を美咲が持ってた」
「どうしてその指輪を涼ちゃんが持ってたの?」
「それは分からない――彼が部屋に忘れたのかも」
暫くの沈黙の間、二人の周りは店内で流れている明るい音楽に包まれた。
だが二人の表情は流れる音楽とは違い、酷く曇っている。
「どうして手紙を見付けた時、すぐに連絡してくれなかったの?連絡してくれれば――」
「涼子が死んで三ヶ月も後だったから――。事故で処理されて、今更こんな手紙が出てきたところで警察が真剣に動いてくれるとは思えなかった。だから自分でこの男を見付けて真実に辿り着こうと思ったの」
紅の言葉を遮り、そう話した梓は悔しそうに顔を歪めた。
握りしめた拳がテーブルの上で震えている。
その震えが怒りなのか悲しみなのか、それとも悔しさなのかは分からない。
その震えを鎮めるかのように紅は手をのせ、梓の拳を包み込んだ。
「――指輪を持ってたの」
「指輪?」
「涼子の部屋の引出しの奥に“Asahi*Misaki”って刻印された指輪が入ってたの。同じ刻印がされた指輪を美咲が持ってた」
「どうしてその指輪を涼ちゃんが持ってたの?」
「それは分からない――彼が部屋に忘れたのかも」
暫くの沈黙の間、二人の周りは店内で流れている明るい音楽に包まれた。
だが二人の表情は流れる音楽とは違い、酷く曇っている。
「どうして手紙を見付けた時、すぐに連絡してくれなかったの?連絡してくれれば――」
「涼子が死んで三ヶ月も後だったから――。事故で処理されて、今更こんな手紙が出てきたところで警察が真剣に動いてくれるとは思えなかった。だから自分でこの男を見付けて真実に辿り着こうと思ったの」
紅の言葉を遮り、そう話した梓は悔しそうに顔を歪めた。
握りしめた拳がテーブルの上で震えている。
その震えが怒りなのか悲しみなのか、それとも悔しさなのかは分からない。
その震えを鎮めるかのように紅は手をのせ、梓の拳を包み込んだ。