愛を餌に罪は育つ
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USBメモリに保存されている日記はまだ全部読み終わっていない。


私の性格上三日坊主、良くて一週間分くらいしか日記は書いてないだろうと思っていた。


だけど意外とマメだったのか、日記を書くことにはまっていたのか思いのほか長い期間毎日書いていた。


日記を書き始めたのは約二年程前からだった。


ストーカー被害に遭う約一年前から私は朝陽と付き合っていたようだ。


一気に読んでしまいたいけど家で読んでいて朝陽に見られる訳にはいかないし、でも今みたいに職場で仕事の空いた時間に少しずつ見てても中々進まない。


こそこそインターネットカフェに行くのも朝陽にばれたら面倒だ。


小さくため息を吐き、私は鞄を持って席を立った。


副社長室をノックしようとした時、ドアが開き驚いて固まってしまった。



『すまない、ドアの前に立っているとは思わなかった』

「いえ、こちらこそ申し訳ありません」



頭を下げ視線を下に向けたとき、副社長が鞄を持っている事に気が付いた。


あれ?


午前中は外出する予定は入ってなかった――よね?






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