愛を餌に罪は育つ
「浮気の証拠になるような事が書かれていたんですか?」

「いえ――直感という様な感じで、自分が感じた事を書いていただけなんです」

「例えばどんな感じの事が書かれていたんですか?」

「朝陽と会うとたまに同じ女物の香水の匂いがする気がするとか、携帯を見える場所に置かなくなったとかですかね」



笠原さんは私の言葉をしっかりと書き留めてくれている。


いつも一生懸命話を聞いてくれる。


でもそれはきっとお仕事だから。



「もしも浮気をされていたとすれば、ストーカーの可能性は低くなるかもしれませんね。ですがそれだけの内容では、浮気をしていたかどうかの判断は正直厳しいです」

「そう、ですよね――」



半同棲状態だったみたいなのに、何でもっと証拠になるような事を書いてないんだろ――。


朝陽が浮気してたなんてショックだけど、ストーカーだった方がショックだよ。


でもどうして浮気されてるかもって思ってたのに、私は朝陽と別れなかったんだろう。


確証がなかったから?


それとも、それでもいいから一緒にいたい程朝陽の事が好きだったんだろうか。


今の私みたいにただ単に一人が寂しくて別れられなかっただけ――っていう事も考えられるか。






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