愛を餌に罪は育つ
他に何かなかったかと考えていると、ある事を思い出した。


浮気とは関係ないかもしれないけど話してみよう。



「暫くの間朝陽の様子がおかしかったみたいなんです。その時期に朝陽は一人で旅行にも行ったみたいで、戻ってきてからは普通に戻ってたって書いてありました」

「いつ頃か分かりますか?」

「えっと、ちょっと待って下さい」



私は鞄の中からノートを取りだし、ページを捲った。


日記を読みながら気になった部分は書き写しておいた。



「一昨年の九月八日の夜に会った時から二、三日様子がおかしくて、その後二泊三日で一人で旅行に行って帰ってきたみたいです」

「九月八日――」



笠原さんの眉間にはシワが寄っていき、ペンを持つ手が震えていた。


どうしたんだろう――。


こんなに怖い顔をした笠原さんを初めてみた。



「――笠原さん?」



笠原さんは私の言葉にハッとした顔をして、気持ちを落ち着かせる様に紅茶を口に運んだ。


怒り?


それとも動揺?


笠原さんの雰囲気からはそういった感情が伝わってくるが、理由は全く分からない。





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