愛を餌に罪は育つ
頭の中で色んな考えを張り巡らせていると、山田さんが重たい口調で話を進めた。



『辛い話になると思いますが、お話しても宜しいですかな』

「――はい」

『家が燃えていると通報があり、消防隊が駆けつけた家の外に大野さんが倒れとったんです』

「家が?それって――――」

『燃えとったんは大野さんのお宅です』



じゃあ――私には帰る家がないってこと?


私以外の家族も入院しているんだろうか――。


そんな事を考えている最中、山田さんの次の言葉は酷く残酷な現実を私に突き付けた。



『その火事で生き残ったんは大野さん、あなた一人だけです』

「――どう、いう意味――ですか」



山田さんの言葉が頭の中をグルグルと回っている。


私の聞き間違いであってほしい。



『お宅は全焼で焼け跡から三人の焼死体が発見されました』



焼死体って――それって私の――家族って事?


私は一人で逃げたの?


家族を見捨てて――――。






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