愛を餌に罪は育つ
まだ朝陽とは続いてるの?


だとしたら、会社の飲み会の帰りに会った時の二人の態度は演技だったの?


どうして――今はその言葉で頭の中がいっぱいで、いくら考えても答えはみつかりそうになかった。


足音が近付いてくる音がして私は慌てて箱の蓋を閉め、元の場所――ベッドの下に箱を戻した。



「続けてコーヒーは嫌かなぁと思って紅茶にしたんだけど、紅茶飲めるよね?」

「あ、うん。大好きだよ」

「良かった。いつもコーヒー飲んでるから紅茶は苦手なのかと思ってた」



そう言って笑いながら紅茶の入ったカップを置いてくれる梓に、ちゃんと笑い返せているか自信がなかった。


梓が話してくれる内容も頭に入らなくて、耳から入ってきたはいいがどんどん流れ出ていくようだった。


このままだと変に思われる。


でも何を話せばいいのか分からない。


どうしようかと焦っていると、ふと一つの写真立てが目に入った。


梓と知らない女性が写っている写真。


写真を見ただけで、親しい間柄なんだろうなという事が伝わってくる。






< 154 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop