愛を餌に罪は育つ
朝陽は私の体に馬乗りになり、私の手首を縛るように頭上で押さえつけている。


強く握られているため少しずつ指先の感覚がなくなってきた。


朝陽は息遣いが荒く涙をぼろぼろと溢している。



『美咲の気に障るような事をしたなら謝るよッッ嫌なところがあるなら直すからッッ!!だからッッ出ていくなんて言わないでッッ!!』

「朝陽は悪くない。私がケジメをつけたいの。記憶も家族も失った私の面倒を見てくれた事は本当に感謝し――」

『お礼なんていらないッッ美咲がいてくれるだけで僕は幸せなんだッッ!!』



どうしてそんな事が言えるの?


浮気――してたくせに。


そう思うと朝陽の涙が安っぽく見えた。


体の自由がきかないまま朝陽は私の首筋に顔を埋めてきた。


唇が首筋、そして鎖骨に触れるたび体がピクリと反応してしまう。



『感じてるの?』

「ッッ――」



怖い――。


目を細め口角を上げて不敵に笑う朝陽。


今度は無理矢理唇を奪われ片手が洋服の中に入れられると、彼はお腹を優しくなぞり始めた。


私はなんとか抜け出そうと体を動かすが、私の体に跨いでいる朝陽の体はびくともしない。






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