愛を餌に罪は育つ
不貞腐れながらお酒を飲んでいると、隣にいる梓から肩をバシッと叩かれ目を見開いた。



「いつからなの!?」

「つい――最近だよ」

「そんな素振りなかったじゃない!!全然気付かなかったぁ!!」



だって秋さんへの気持ち、自覚したくなかったんだもん。


自覚しても叶わない恋だと思ってたから。


辛い恋になると思ってたから――。



『話してなかったのか?』

「さっき話そうとしたら、ちょうど秋さんたちが来ちゃって話しそびれたんです」



友達の前でこうして秋さんと言葉を交わすことがくすぐったくて、だけど凄く嬉しかった。



『なんか俺複雑――。この前会った時、実はもう付き合ってたんじゃないんですか!?』

『あの時は本当にまだそういう関係じゃなかったよ』



秋さんはいったいいつから私の事を好きでいてくれたんだろう。


私も具体的にいつから好きだったかはよく分からないけど、今思えば初めて会った時から惹かれていたような気がする。






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