愛を餌に罪は育つ
『住む場所とかが決まったら連絡くれんですかね』

「分かりました。笠原さんにご連絡しますね」

『そうして下さい』



二人は軽く頭を下げると病室から出て行ってしまった。


ドアが閉まるのを見届けて、私は泣きたい気持ちを誤魔化すようにバッグの中をあさり始めた。


まず最初に取り出したのは財布。


財布の中を見ると、何枚かのお札に小銭、カード類が入っていた。


免許証には鏡にうつる顔と同じ写真が貼られていた。



「私、今25歳なんだ――」



朝陽はいくつなんだろう?


あれだけわんわん泣くくらいだから私より年下かもしれない。


顔も少し幼い感じだし。


次に私は手帳を取り出し中を開いた。


ペラペラと捲り、今月のページで捲るのを止めた。


そこに書かれていた文字を見て私は驚いた。



「12月15日、退職って――私職無しってこと!?」





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