愛を餌に罪は育つ
自動販売機で緑茶を買い、木で作られているベンチへ腰掛けた。


目の前を通り過ぎる小さな子供とその母親。


私は家族との温もりを思い出したところで意味があるんだろうか。


本当の家族じゃないのに。


それを言うなら血の繋がらない私のせいで家族は殺されて、さぞ恨んでいるに違いない。


もしも、血の繋がらない私を本当の子供の様に愛してくれていたなら、その恨みは計り知れないほどのものだろう。


誰が――ストーカーなの?


誰が――みんなを殺したの?


分からない事がこんなに怖い事だなんて思ってもいなかった。


最初は分からない事で守られているような気がして、苦しまなくいいと思っていた。


でも今は違う。


自分の事なのに何も分からない。


何も――。


こんなに自分自身と向き合ったのはいつぶりだろう。


病院に入院していた時以来かもしれない。


あの時は、こんなに複雑になるとは思っていなかったからもう少し楽観的に考えていたけど。






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