愛を餌に罪は育つ
私は秋の胸元に手を置き、そのまま握りしめた。



「心配してないって――もしかしたらその人が私の家族を殺してる可能性だってあるんだよ!?」

『俺がそんな弱い男に見えるか?家柄のせいで幼い頃から自分の身を守れるようにと、一通り武道を習わされたから問題ない』

「今は何もしてないんでしょう!?」

『今も時間を作って体を動かしてる』



今の言葉を聞いて納得した。


どうりでいい体してるわけだ。


これ以上何を言っても秋は私の言葉を上手く交わすに違いない。


やっぱり秋には敵わないと思うとちょっと悔しかった。



「わッッ!?」



突然秋が立ちあがろうとして、倒れないように体勢を整えよとしていたら、秋は私の体をすくい上げた。


お、お、お姫様抱っこ!?



「じ、自分で歩けるよッッ!!」

『早く風呂に入らないと寝るのが遅くなる』

「だから!!自分で歩けるったらッッ」

『それ以上騒いだら俺も一緒に風呂に入るからな』



私は急いで口を結んだ。


そんな私の顔を見て秋は珍しく大笑い。


今はまだ抵抗があるけど、そのうち一緒に入れたらいいな。





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