愛を餌に罪は育つ
梅雨の時期でジメジメしているか雨が降っている事が多いけど、今日は違った。


快晴ではなく雲が広がっているけど、それほど肌がベタつく感じもなく過ごしやすい天気だ。


目の前に黒の大きな四駆車が止まり、開いた窓から翔太君が顔を覗かせた。



『あれ?秋さんは?』

「ごめん翔太君、副社長じゃなくて私と一緒に行ってほしいところがあるの。来てもらってから言うのも変だけど、いいかな?」

『そうだったんだ。勿論オッケーだよ』



笑って了承してくれて良かった。


私が助手席に乗り込みシートベルトをすると、翔太君はゆっくり車を発進させた。


車を運転している時の男性ってどうして格好よく見えるんだろう。


元から整った顔をしていて格好いい翔太君だけど、更に格好よく見える。


一番格好よくて素敵なのは秋だけど――なんて思っちゃった私は、翔太君に気付かれないように顔を緩ませた。






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