愛を餌に罪は育つ
家に着いてリビングのソファーに腰を下ろすと、自然とため息が零れてしまった。


そんな私に何やらハーブティーらしき飲み物を差し出す秋。


キョトンとしたままそれを受けとると、秋は笑って隣に腰掛けた。



『カモミールティーだ。好きだろう?』



確かにハーブティーは基本的にどのハーブのものでも好きだけど、秋にそんな話をしたことあったかな?


一緒にいる時に飲んだ記憶もないし、会社に居る時はいつもコーヒーだ。



『翔太から聞いたんだ。美咲はよくハーブティーを飲んでいたとね。特にカモミールティーを好んで飲んでいた気がすると言っていた』

「翔太君から?」

『あぁ、少しでもリラックス出来ればと思って買ってきたんだ』

「ありがとう」



ハーブティーを一口飲み込むと、その香りと味に心が癒される様だった。


だけどハーブティーなんかより、私にとって一番の癒しは秋と一緒にいる事。


ちゃんとその想いを知っていてほしくて、私はティーカップをテーブルに置くと、体を捻り背伸びをするように秋の唇にキスをした。






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