愛を餌に罪は育つ
「お父さんは――どうして――」

『美咲が二歳の時に病気で亡くなっていたよ』

「病気で?」

『白血病を患っていたようだ。ご両親は二人共まだ二十代だったのに、本当に残念だ』



二人共若くして命を落としたんだ――。


もしかしたら今の私と同じくらいの歳だったかもしれない。


やりたい事もたくさんあったに違いない。


実の父は、母を奪った私を恨みながら死んでいったのかもしれない。



『美咲の実の父親は、病気で亡くなる約三ヶ月前に実の兄に美咲を養子にだしている』

「それって――育ててくれた父は、本当は叔父さんだったって事?」

『そういう事になるな。美咲を施設には入れたくなかったんだろう。きっと独りぼっちにさせたくなかったんだ』



秋の言葉に一気に視界がぼやけた。


お父さんも私の事を愛してくれてたって思ってもいいのかな?


こんな私を愛してくれてたんだって――ッッ。






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