愛を餌に罪は育つ
就職先の会社は主にオフィスビルを取り扱っている不動産業みたいだけど――内容はこれを読んだだけではよく分からない。



「どういう会社か分かった上で応募したのかな――でも仕事を選ぶのにこだわりがない人の方が多いと思うし、私もそんな感じだったのかも」



見る限りでは給料がいいようだし、この給料の良さに惹かれたのかもしれない。


前職での給与明細のデータを見る限り、就職先の給料よりも低い。


それに、今回合格したところは社員雇用のようだ。



『難しい顔してどうしたの?』

「来週から新しい職場で働くみたいなんだけど、その会社の詳細が入ってたから見てたの」

『大手の不動産会社だね』

「うん。でもこの会社で何の仕事をするのか行かなきゃ分かんないの」

『そうなの?でも美咲ならどんな仕事でもやれるよ。頑張り屋さんだからね』

「ありがとう。なんかやる気出てきた」



笑顔でそう言うと朝陽は微笑み寝室を出て行ってしまった。


私もPCの電源を落とし、その後を追うように寝室を後にした。






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