愛を餌に罪は育つ
秋が薄めに作ってくれたウィスキーの水割りを飲み干し、グラスをテーブルの上に置くと氷がぶつかる音がした。


浴衣姿の秋を直視できなくて、私は俯いた。



『大丈夫か?』

「うん」

『のぼせてしまったかな?』



私のおでこに触れる秋の手が冷たいのか、私の顔が熱いのか分からないけど、とにかく心臓が痛いくらいバクバクしていた。


そんな私の反応を面白がっているかのように、撫でる様に頬を触る秋。


顔を上げると妖艶な秋の目と視線が絡み合った。



「秋――」

『ん?』

「好き、だよ」

『俺も好きだよ』



顔が近付き唇が触れ合い、啄む様なキスを交わす。


秋の大きな手が後頭部に回され、長く綺麗な指に私の髪の毛が絡まる。


おでことおでこをくっつけると、秋は綺麗に微笑んだ。


足と腰に腕を回され抱き上げられるんだと思い、私は腕を秋の首へ回した。


私が首に腕を回すと嬉しそうな顔をして秋は私のおでこに唇を落とした。


なんか可愛い。


秋は私を軽々と持ち上げると、ベッドルームへと足を進めた。






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