愛を餌に罪は育つ

梓にメールを返信して、五分も経たない内に携帯が鳴った。


また梓からのメールで、そこには良かったらお昼一緒に食べないかという内容が書かれていた。


笠原さんはお昼頃帰宅すると書かれているから三人でという事なんだろう。


笠原さんは私との今の関係性をどう思っているんだろうと思う時がある。


放火事件の被害者という目でしか見ていなかっただろうに、今では梓を通してプライベートでも会うようになった。


勿論二人で友達の様にお茶をしたり食事をしたりなんて事はしていない。


でも笠原さんの立場で考えると、私との今の関係は好ましくないもののように思える。



“大丈夫だよ！！何処で待ち合わせる？”



私はメールを送ると直ぐに出掛ける支度を始めた。


事件が解決すれば笠原さんとも友達になれるのかな。


そんな淡い期待を抱いているから笠原さんの立場を分かっていても、何も考えていない様な素振りを取ってこうして梓からの誘いを受けてしまうのかもしれない。