愛を餌に罪は育つ
お昼は外ではなく、笠原さんのマンションで食べる事になった。


元々そのつもりだったらしく、梓の力作料理がテーブルの上に並べられている。



「もしかして副社長との時間邪魔しちゃった?」

「そんな事ないよ。秋はゴルフに行ってるから本当に暇をもて余してたところ。だから誘ってくれてありがとう」

「良かったぁー。副社長に悪いことしちゃったかもと思ってたから安心した」



秋がいたら秋も誘っていたかもしれない。


秋は笑いながら遠慮しとくよって言いそうだけど。



「笠原さんはお仕事に行かれてたんですか?」

「えぇ、悲しい事に日々問題は尽きませんから」

「紅も他の刑事さんも寝る間も惜しんで働いてくれてるのに何で犯罪ってなくならないんだろうね」



梓はどんな気持ちで今の言葉を言ったんだろう。


あの日の事は何も語らないけど、私も笠原さんも朝陽が関わっていると思っている。


だけどせっかくここまで回復した梓をまた傷付けたくなくて、朝陽の事を聞けないでいる。






< 280 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop