愛を餌に罪は育つ
【第四章】

携帯電話

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「美咲ッッ!!」



病室の外の椅子に腰掛けていると、山田さんと笠原さん、梓が急いで駆け付けてくれた。


梓に抱きしめられ、緊張の糸が切れたのか涙が零れ落ちた。



「怪我は!?」

「私は平気――翔太君が守ってくれたから」

『お友達の具合はどげんですか?』



山田さんは翔太君のいる病室のドアを見ながらそう訪ねてきた。



「軽い脳震盪だそうで、今は意識を失っているだけだそうです。他は問題ないのでその内目を覚ますだろうって、お医者様は仰ってました」

『そうですか。とにかくお二人が無事で良かったです』



翔太君が気を失って私はその場を動けなくなってしまった。


ざわつく心臓を胸にもう駄目だと半ば諦めかけている時、たまたま人が通り掛かり朝陽は走って逃げてしまった。


親切にも偶然通り掛かった人が救急車を呼んでくれ、私も翔太君も生きて今ここにいる。






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